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2025年7月Vol.148 サクッと小噺 サクっと読書感想文 ≪ 国宝 ≫

No148.png2025年6月に映画が公開されて以来、大評判ですね。
監督は李相日(代表作:フラガール)、脚本は奥寺佐渡子(代表作:サマー・ウォーズ)、
キャストは吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、高畑充希、寺島しのぶと錚々たる面々で、上映時間は3時間。
(※本文中の人物名は敬称略)
私も観てきましたが、とことん贅沢で全力で重厚でした。
関わった人たち全員が、映画にがっぷり四つで取り組んだ大傑作。

主人公の喜久雄(吉沢亮)は大きな任侠一門の親分の一人息子。中学生のとき抗争で父を亡くし、
血縁関係はなにもない歌舞伎の名門「花井半二郎」の一家へ引き取られ、
そこの御曹司 俊介(横浜流星)とともに稽古に励んで芸の道へ進みます。

サラブレットの俊介と門外漢の喜久雄。正反対の生い立ちながら競い励まし高め合っていくのですが、
喜久雄が俊介より秀でてきた頃から歯車が狂い、2人もまわりも予想だにしなかった大きなうねりが起きます。
喜久雄は嫉妬、恐怖、羨望、執着、といった感情に自らも揺さぶられ、周りからもぶつけられ、
それでも歌舞伎から離れることなんてできず、芸の道で戦い続けて、最終的に「重要無形文化財(人間国宝)」として認められます。
後ろ盾を無くしたヤクザの少年が、歌舞伎で頂点にたち、国の宝となるまでの50年を描いた作品です。

映画では役者陣に圧倒されました。本来の歌舞伎役者なら歌舞伎の世界に生まれ落ちて、
物心つく頃には舞台に立って、生涯をかけて演じていくものでしょう。生きることと演じることが同義のような世界でしょう。
しかし、歌舞伎が全くの素人の吉沢亮と横浜流星は、短期間の稽古で歌舞伎を学んで
歌舞伎役者が演じているように見せなきゃいけない。そしてこれが本当にそう見えるんです。
たとえば、演目「曽根崎心中」でお初が『死ぬる覚悟が聞きたい』と切迫感あふれる声をあげ、
それを受けた徳兵衛がお初の足に顔を寄せながら戸惑いと恋慕と恐怖と喜びがごちゃ混ぜになった表情をするのですが、
それがどちらも物凄い。お初と徳兵衛を「演じている」のではなく「なっている」のです。

上映後はまったく興奮冷めやらず、本屋へ直行して原作を購入。
読み始めたら映画の映像が浮かんできたのも束の間、映画では触れられなかった場面の多いこと多いこと。
3時間の長編枠でも収まらなくて、人物やエピソードをバッサバッサと切っていた事が分かりました。
また、原作ではAさんの台詞が、映画ではBさんの台詞になっている事も多々あります。
でも映画を通して考えると正解なんです。これは脚本家がすごい…!
原作から映像化した作品は、「大事な部分が抜け落ちてて嫌」とか「原作に忠実で嬉しい」といった評価をよく聞きますが、
「国宝」はどちらにも当てはまりません。 原作から削除・修正された箇所は多いけど、
3時間の映像作品という容器に入れ替えた時に原作の精髄が一番伝わる、とでもいいましょうか。
映画と全然違って、でも同時にまったく同じな、原作です。

ところで、花井の血筋を羨んだ喜久雄が俊介に向かって
『俺には守ってくれる血がない。お前の血をガブガブ飲みたい』と言うシーンがあるのですが、
吉沢亮はまさに今、別の映画で吸血鬼を演じています。
( 「ババンババンバンバンパイア」 銭湯で働く吸血鬼が18才童貞の血を飲みたい話 )
吉沢亮、こんどこそ、血ぃ飲めるといいねぇ・・・。

No148-2.png

 

この記事を書いた人サク

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