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2021年3月Vol.97 サクッと小噺 2021年04月19日

※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。
※スタッフの名前はニックネームで記載しています。

こんにちは、サクです。早いもので、来月、息子が1才になります。1年前、初めての出産を控えた私は、生来のガリ勉な性格から「夜泣き対策」やら「産後クライシス予防」などを勉強して、それなりに準備して息子を迎えたつもりでした。‥‥が、この1年間、なにひとつ思い通りにはいっていません。予想外の連続です。たいていは予想よりも上手くできない事ばかりですが、嬉しい予想外もありました。何をかくそう、私は出産が好きです。

 

「出産がわりと好き」と言うと、「痛くなかったの?!」と驚かれます。いやいや、もちろん痛かったです。でも過去にもっと痛いことあったよ、というのが率直な感想です。たとえば、頭の手術をしたときの方が50倍くらい痛かったです。タイで重度の熱中症にかかったときの方が3倍くらい痛かったです。

ヒザの脱臼をしたときの方が1.5倍くらい痛かったです。もちろん、痛みは個人差が大きいので、私と同じように開頭手術や熱中症や脱臼を経験された方で、「出産のほうが痛いわ!」という方もいらっしゃるでしょう。あくまで、私の場合は、出産のほうがまだ痛くなかった、ということに過ぎません。

 

痛みの程度うんぬんよりも興味深かったのは、出産の痛みは、手術や熱中症や脱臼の痛みとはまったく種類が違ったことです。下半身がバリバリと左右に分かれていく実感がありました。お腹から何かが(というか胎児が)グルグル回りながら下りてくる感触もありました。自分の体が割れて何かが出てくる・・・!
この痛みは、病気や怪我の痛みとは違います。想像ですが、昆虫が「変態」するとき、こんな痛みをともなうのではないかしらん、と思いました。

変態・・・幼虫が脱皮して成虫になる過程ですが、昆虫番組などでご覧になったことあませんか?アレです。

幼虫やサナギの背中が割れて、中から成虫が出てくる様子が、出産中の自分の状態と重なりました。おもしろい体験でした。痛いけど、変に気持ちよかったです。痛いけど、変な爽快感がありました。ちょっとクセになりそうです。

 

普通分娩だろうが、無痛分娩だろうか、帝王切開だろうが、母子ともに健康なら何だっていいと思います。私は陣痛誘発剤をつかって3日間かけての普通分娩でしたが、あの痛みが母性に繋がったとはまったく思いません(実は、出産直後は赤ちゃんに会えた喜びよりも、出産おもしろかった~という感想の方が強かったです)。ただ、単純に、出産は愉快な体験でした。妊娠も育児もシンドイ事はあるので、何人も産み育てる度量は私にはありませんが、出産だけなら年1回やりたいくらいです。

お産は母子ともに命がけなので、出産を茶化すことはできません。ただ、出産は痛いという話ばかり聞くのもどうなんだろう?と思います。マタニティ雑誌の体験記でも「死ぬほど痛かったけど、赤ちゃんを見たら感動の涙」という話ばかりです。「出産が面白くて、赤ちゃんが出てきてもそれどころじゃなかった」という体験記が1つくらい載っていてもいいのに・・・。
私は珍しいケースなのかもしれませんが、私が面白いと感じたということは、他にも面白いと感じる人はいるでしょう。そういう体験談も知ることで、妊婦さんの不安が少しでも減るなら良いではありませんか。

この瞬間も、日本中いろんな所でお産が行われています。どうか母子ともに健康でありますように。
お母さんも、赤ちゃんも、ガンバレー!

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2021年1月Vol.96 サクッと小噺 2021年04月19日

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こんにちは、サクです。2021年も早くも1ヶ月が経とうとしていますね。今月は、「今年の目標について」ではなく「今年の目標にしなくて済んだことについて」書きたいと思います。

2020年の年明け、私と夫は岩手に旅行に行きました。夫がわんこそばに挑戦したいと言うからです。私も蕎麦は好きだし、でもわんこそばは未経験だし、赤ちゃんが生まれたらしばらく岩手まで出向くのは難しかろう(当時、私は妊娠7ヶ月でした)、では今のうちに食べにいこうじゃないか―ということで、わんこそばを求めて岩手まで足をのばしたのです。

我々が暖簾をくぐったのは「東屋」さん、明治40年創業という老舗のお蕎麦屋さんです。観光客もたくさん来るようで、100杯達成したら記念手形がもらえます。

私も夫も「気持ちよい範囲で、美味しく食べたらいいじゃない」なんて優雅なタイプではありません。やるからには勝ちたい(誰に?)。美味しく食べるより、耳や鼻から蕎麦が飛び出してきたって1杯でも多く食べたい。

ましてや100杯で手形がもらえるなら、なんとしても100杯は食べたい。我々は、昼飯を抜いてお腹を空っぽにして、準備万端にして挑みました。

初めて食べたわんこそば、一口食べてみたら、あらまぁ意外と美味しい! 意外と、なんて失礼なようですが、提供側はスピードが必要だし、お客側は量を目指しているので、普通に食べる蕎麦に比べれば味は落ちるのかな、と思っていたのです。しかしそんな事はありませんでした。蕎麦は茹でたてで温かく、のど越しツルリと気持ちよく、鼻にツンと風味が抜けます。給士さんが蕎麦をお椀に入れてくれるときの「じゃんじゃん♪」という掛け声も愉快です。じゃんじゃんに合わせて、私はリズミカルに杯を空けていきました。

・・・しかし美味しかったのは40杯まで。40杯を越えたとたんガクンとペースが落ちました。わんこそば1杯あたりの蕎麦の量は店によって違うのですが、東屋さんの場合は15杯=普通の蕎麦1杯、だそうです。つまり40杯なら、普通の蕎麦2.6杯を食べた計算になります、この時、苦しくなって顔を上げると、夫は既に70杯を超えていました。彼が手形をもらうのは必至です。彼が手形をもらって、私がもらえなければ、きっと私は2020年の間中ウジウジ言い訳を並べるでしょう。「あの時は妊娠7ヶ月で、胃が子宮に圧迫されていたからなぁー。そうでなければもっと食べられたけどさぁー」などと。

そして子供が1才を越えたら「リベンジわんこそば」に行くでしょう。私は(こと食べ物に関しては)しつこいのです。しかし、さしあたって今この瞬間、ものすごく苦しい。蕎麦はツルリと入っていく分、ツルリと簡単に出てきそうになります。のどをせり上がってくる蕎麦を懸命に飲み込みながら、私は思いました。

「わんこそばは美味しいが、1年後にリベンジはしたくない。次は普通の蕎麦をゆっくり食べたい。そのためにも、今日100杯食べなければ!!!」リベンジしたくない一心で私は杯を重ねました。ここまでくると、もう美味しくはありません。風味もへったくれもありません。「あと1杯」をエンドレスに続けるだけです。

血走った目で私は100杯をたいらげ、ヒクヒクした笑みを浮かべて記念手形を夫共々もらいました。

あぁ、これで来年の目標を「リベンジわんこそば」にしなくて済む・・・と心底ホッとしました。

年明け一発目から、「今年の目標にしなくて済んだこと」というマヌケな話題ですみません。

毎度くだらない小噺ですが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年は新型コロナウイルスが落ち着いて、また気軽に岩手に遊びに行ける日常が戻りますよう、願うばかりです。

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