サクのサクッと小噺
STAFF BLOG

2024年6月Vol.135 サクッと小噺 2024年06月24日

※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。

≪納豆評論会≫
うちの息子は納豆が好きで、納豆がメニューに出るとよく歌いながら踊っています。
うちの夫も納豆が好きで、毎晩1パックの納豆は欠かせません。
私には二人ほどの納豆愛はありませんが、それでも納豆は好きな方で、納豆専用のかき混ぜ棒とすり鉢を愛用しています。
そこで先日、わが家で納豆の比較評論会を開催しました!
日頃からいろんな納豆を食べている中で「国産のほうが美味しいね」というのは3人の総意だったので、違うメーカーの国産納豆を比べました。公正を期すため賞味期限は同日の品を揃えます。
エントリーナンバー1番、●紀 国産大豆 中粒納豆さん!
エントリーナンバー2番、お●め 国産大豆 中粒納豆さん!
エントリーナンバー3番、●のつぶ 国産大豆 小粒納豆さん!
まずタレをかける前に見た目を比べると、●紀は際立って色が薄くて、明るめのベージュ…いや、アイボリーと言っても良いくらいです。対して、お●めと●のつぶは濃い茶色です。発酵が進むほど色は濃くなる説もあるようですが、賞味期限は同じなので、豆種類や製造方法など、他の理由かもしれません。

さて混ぜ比べてみると、●のつぶが一番早く粘り気がでました。粒が小さい分、混ざりやすいようです。粘り気は納豆の必須要素だし、かき混ぜるのにあまり時間をかけるのも大変ですから、ネバネバしやすいというのは大きなメリットです。
ついに、3種類を食べ比べてみます。●紀とお●めは、粒が大きいので噛みごたえがあります。大豆の表面に歯があたって、歯が大豆を噛み砕いて、大豆が砕けて細かい粒に分かれていく様を、舌触りで味わうことができます。私はこの工程がたまらなく好きです。味と臭いはお●めより●紀の方が優しくて、●紀は「こんにちは、ぼく”大豆”です」と自己紹介している感じがしました。
一方でお●めは味がしっかりしていて、お●めは「こんにちは、ぼく”納豆”です」と自己紹介しているのが
聞こえました。自分のアイデンティティーを大豆と認識しているか、納豆と認識しているかは、大きな違いです。

私個人の感想では、納豆単体または白米と一緒に食べるなら、●紀が一番好きです。お●めは味の主張が強いので、なにかと混ぜて食べるなら…生卵とかキムチとか…お●めのほうが適していると思います。そして、●のつぶは、ここまで粒が小さいならいっそのこと挽き割り納豆を食べたい、と思いました。
私の判定は1位:●紀、2位:お●め、3位:●のつぶですが、夫の判定では1位と2位が入れ替わりました。また、息子は「3つとも最高に美味しい」とのことでした。

わが家でこんな評論会を行った数日後、日経新聞土曜朝刊プラス1で納豆特集が組まれていました。
「すごい、我々は日経の先を行っている」と喜びましたが、わが家が評論会で使った納豆は3パック100円なのに対して、日経で紹介されていた納豆は2パック500円とか1パック700円とかなのが、なんとも言えない気持ちになりました。
庶民とエリートの差とでも言おうか…(苦笑)。
7月10日は納豆の日です。納豆が多くの方に食べていただけますように。

 

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2024年5月Vol.134 サクッと小噺 2024年06月14日

※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。

おかげさまでP.D.R.は40周年をむかえました。ひとえに支えてくださる皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。
ささやかながら感謝をこめて、私のオススメ書籍をプレゼントいたします。40周年記念なので、「時の流れ」に思いを馳せる本を選んでみました。よかったらご応募ください。
※過去の小噺投稿のため現在、応募は受け付けておりません。
「サク」のおすすめの本なのでよろしければご覧ください。

そしてバトンは渡された 瀬尾まいこ著
本屋大賞の小説です。主人公の優子は幼くして母を亡くし、父が再婚して父と継母に育てられるのですが、父が仕事で海外へ出ていき、父と継母は離婚して、優子は継母と二人暮らしになります。継母が再婚して二番目の父親ができたのも束の間、また継母が離婚と再婚をして三番目の父親ができて、継母はある理由のために去ってしまうので、優子は三番目の父親と二人暮らしとなり、そこで成人します。
可哀想・・・というのは早合点で、優子は二人の母親と三人の父親からたくさん愛されて
育ちます。彼らが普通の親子より優れている点は、お互いの存在を当然と思わずに、いつも感謝している事です。三番目の父親が「優子ちゃんが来てわかったよ。自分より大事なものがあるのは幸せだ」と話していたのが印象的です。親達は育児を義務としてとらえていません、優子も生活を権利としてとらえていません。親も優子も共に生きる事を「有り難いこと」と分かっていて、結果的に、普通の親子の話よりも親子愛が純粋に伝わってきます。私は温かい涙がボロボロこぼれました。

たゆたえども沈まず 原田マハ著
画家ゴッホと弟テオをめぐる実話に基づいた物語です。今では100億円の値がつくゴッホは、生存中は1枚しか絵が売れなくて、テオの経済援助ナシには食べていけませんでした。ゴッホは稼げない上に、精神的に不安定で、生活も乱れていて、まさに社会不適合者。一方、テオは画商勤務で、芸術の都パリの店舗を任されていますから、敏腕ビジネスマンです。テオは当時の権威画家ジェロームや新興モネの絵にも親しむ中で、ゴッホの絵の素晴らしさを確信しています。しかし今の世間に受け入れられないことも分かっていました。テオは「兄さんの絵は新しすぎて世間には理解できない」と、芸術家にとっては最上の褒め言葉で説明します。
お洒落にスーツを着こなすテオと、浮浪者のように汚いゴッホ。顧客のブルジョアジーと気の利いた会話ができるテオと、画家仲間とさえうまく話せないゴッホ。でも、テオはゴッホを認め、励まし、支え続けます。テオがいなければゴッホの絵はありません。ゴッホは1890年7月に37才で亡くなり、テオは兄の後を追うように1891年1月に亡くなりました。冷たい言い方をすると「ゴッホがテオに依存してたというより相互依存だね」とも言えますが、ゴッホが人類に残した芸術を見ると、この兄弟は神様から人類へのギフトだったのだろうと思います。でも本人達の人生は犠牲にされたようなもので、なんとも不憫な気持ちになりますが、彼らの人生の中で称賛されていたらあのような絵は描けなかったかもしれません。切ないですね。

ローマ人の物語 塩野七生著
文庫版は全43巻。私は9年かけて読了しました。なにせ長いので、飽きて1年以上読まない期間も何度かあったのですが、それでもまた再開させる魅力があります。学術的な歴史本というには著者の主観が入りすぎていて、だからといってフィクションでは無いので歴史小説とも言えない、不思議な本です。著者が人生をかけて学んだ古代ローマ帝国について、著者が書きたいように執筆した、塩野さんならではの本です。ハンニバルやカエサルなど誰もが「名前だけは知っている」ような人物も多く登場しますが、面白いのは、塩野さんの”推し(オシ)”かそうでないかがハッキリ分かる点です。
執筆しながら「萌ぇ〜♡」ってるかどうかが文章から匂ってきます。真面目で難しい歴史の本ではなく歴史オタク女子が萌えながら推しを語る本、と気軽に手にとってほしいです。実際に私も、読みながら手で床をバシバシ叩いて「あぁ〜♡」と身悶えする事が多々ありました。1巻の「ローマは一日にしてならず」上下巻をお届けいたします。

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2024年4月Vol.133 サクッと小噺 2024年05月15日

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≪息子過剰歯≫

私の息子(4才)は過剰歯があります。かかりつけの歯科医院様では2才の頃から乳前歯の動揺を気にしてくださっていて、3才になった時にレントゲンを撮ったら上顎前歯の歯肉の中に過剰歯があり、過剰歯におされて乳前歯の根が溶けていると分かりました。しばらく様子を見ながら定期検診に通っていたのですが、3才半のとき「動揺が大きくなっているから、抜けてしまう事も考慮して大きな病院で診てもらいましょう」と紹介状をいただきました。すぐに大学病院の小児歯科へ。
いろんな角度からレントゲンを撮り、ある写真では乳歯と永久歯と過剰歯がすべて歯らしい形に写っていますが、別の写真では過剰歯だけ楕円で歯らしくない形をしています。
先生は「正常な歯の向きに対して、過剰歯が邪魔する角度かも」と予想して、CTを撮ったらその通りでした。これでは、永久歯はものすごく変な角度で生えてくるか、または生えてこない事もありえる状態です。そこで、過剰歯の抜歯手術のために同病院の口腔外科へ移りました。
先生:抜歯手術は今でもできますが、6才まで待っても良いです。
私 :なぜですか?
先生:この状態ではどのみち矯正は必要で、矯正は6才から始めるからです。3才で抜くなら全身麻酔で入院になりますが、成長するほど全身麻酔のリスクも下がるから、処置が急務でなければ成長を待つのも一手かと。
私 :なるほど。今のうちに抜歯するメリットはありますか?
先生:生えてくる永久歯の角度がすこしマシになるかもしれません。でもこの過剰歯では、矯正が不要になることは無いです。
私 :わかりました。ところで、いま抜歯したら、乳前歯は抜けちゃいますか?
先生:歯根がほとんど残ってないし、過剰歯は乳前歯の奥にあるから、抜ける可能性は高いです。抜けないようベストはつくしますが…。乳前歯が抜けたら、歯列が動かないような器具をつけます。
私 :ですよねぇ…。よし、抜歯は延期します。
先生:それが良いと思います。抜歯したくなったら、そうでなくても気になる事ができたら、またいつでも来てください。
私は、早くても乳前歯が抜けてから、遅ければ歯が生え変わり始めてから、過剰歯を抜くことに決めました。今回の件で息子の歯列写真をたくさん撮っていただき、歯科医師の先生方とお話しできて、ありがたかったし興味深かったです。
早いうちに前歯の動揺に気づいて検診を続けてくださったかかりつけの先生もありがたいし、永久歯の歯並びを心配して抜歯手術を勧めてくださった小児歯科の先生もありがたいし、長い目で見て今は延期という選択肢を教えてくださった口腔外科の先生もありがたいです。1つの歯をめぐって、三人の先生の見解を聞くのはとても興味深かったです。また、イメージからいうと小児歯科の先生のほうが全身麻酔を避け、口腔外科の先生のほうが手術に積極的になりそうなのに、逆だったのも興味深いと感じました。さらに、3歳児の歯列のレントゲンとCTは感動モノです。乳歯と永久歯の両方があるので大人よりも複雑で美しいし、なんといっても埋まっている6歳臼歯の可愛いのなんの!!ハートのような形も可愛いし、歯肉の中でじっと座っている姿も可愛いです。レントゲン写真を複数ならべて過剰歯の位置と角度を考察するのも興味深く、CTにいたっては感動しました。なんて分かりやすいんでしょう!私のような素人でも、正常な歯列に過剰歯が邪魔していることが分かるし、過剰歯を抜くとなれば乳前歯は抜けてしまうだろう事も予想できます。
かかりつけ歯科医院受診→バスを乗り継いで大学病院の小児歯科受診→日をあらためてCT撮影→日をあらためて口腔外科受診、と子連れで動くのは大変でもありましたが、とてもありがたくてとてもとても勉強になりました。

息子が過剰歯を抜くのはいつになるかしらん。
今日もパクパクご飯を食べる息子を眺めながら、その日を楽しみにしています。

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2024年3月Vol.132 サクッと小噺 2024年04月17日

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全国で続々と桜が開花していく3月末・・・
桜に押されてあまりニュースになりませんが、まさに今、白木蓮(ハクモクレン)が見頃の地域もあるようです。
木蓮というと紫色が有名ですが、紫木蓮(シモクレン)よりすこし早く咲く白木蓮(ハクモクレン)をご存知ですか?
白木蓮はもちろん白色。幹は10〜15mほどの高さがあるので、結構迫力があります。花弁は厚めでぽってりとしていて、全開に開くのではなく控えめな開き方・・・チューリップのような形です。色は純白ではなくオフホワイト。
漂白されたような真っ白ではなく、自然らしさのあるやや黄味がかった白色です。

白木蓮は咲く時期が絶妙というか残念というか・・・。
梅の散り際、桜の開花直前が、白木蓮の時期にあたります。
開花から散るまで3〜4日という短命な花です。とても短命だし、花木(かぼく)の二大巨頭ともいえる梅と桜に挟まれているため、残念ながらあまり話題になりません。でも、とてもとても綺麗です。
白木蓮が咲く頃は、春めいて空が一段と青くなる頃なので、青空に白い花がよく映えます。
一方で地上はスミレやパンジーやタンポポなどカラフルになりますから、そこにスッと立つ白い花はとても映えます。
私が白木蓮を見るたびに連想するのは「30代〜40代の花嫁」です。20代の花嫁はもっと純白で無垢で清楚な感じ・・・
花ならスズランやカスミソウのイメージです。一方で30代〜40代の花嫁は、純粋無垢に見せかけていてもそうではありません。酸いも甘いも知った上で、白いドレスに隠しています。それが白木蓮の花にかぶります。花弁に厚みがあり、控えめにしか開かないので子房や花柱が隠れていて、黄色い下地に白を上塗りしたような含みのある白で、人に見下されるのではなく見上げられる位置に咲く。なんとも大人な色気ではないですか。
美しい期間が短いということについては、えー、発言を控えます。
純白の可憐な花もいいけど、私は白木蓮の白さが好きです。ちなみに私の個人的な嗜好ですが、女性は20代も可愛いけど、30代以降はより美しいと感じます。

近所に白木蓮はありませんか? ちょっと気にして探してみてください。

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2024年2月Vol.131 サクッと小噺 2024年03月18日

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フェミニズム
もうすぐ3月8日、国際女性デーですね。女性の権利や平等や社会参加を考える日として、国連が制定した記念日です。
この時期は、新聞などの各種メディアでも、フェミニズムのトピックスが増えます。政治やビジネスで活躍する女性が紹介されたり、努力や実力があっても「女だから」という理由で虐げられる女性が紹介されたり、日本の男女平等が他国に比べていかに遅れているかを紹介したり・・・。私も1人の女性として、こういった記事には意識が向きます。その一方で、これらの記事ではなかなか話題にはあがらない、別の視点も思い出します。15年ほど前、大学のフェミニズムの授業で教授が放った一言です。


〜フェミニズム〜
性差別をなくし、性差別による不当な扱いや不利益を解消しようとする思想や運動のこと。
歴史的には女性開放が焦点である時期が長くて、女性の性差に起因する政治的、経済的、社会的、文化的、心理的など、あらゆる不平等を撤廃しようとする思想や運動を指す。
最近は、性別に関わらず、自分らしさを求める主義思想とする考え方も見受けられる。

フェミニズムの授業で、教授は何人かの哲学者について話していました。最も高名な1人はシモーヌ・ド・ボーヴォワールでしょうか(1908年~1986年フランスの哲学者。女性。フェミニズムや実存主義の思想を広めて、自分自身も思想を体現した人生を貫いた)。彼女のような女性哲学者達は、女性が男性の従属物や所有物のように扱われる常識を疑い、批判して、多くの女性達の目を開きました。「自立したい。私達も主体である」と。
ここまでがフェミニズムの王道理論ですが、むしろ私が印象深かったのは、教授がこの後に雑談として話した内容です。「感銘を受けた多くの女性達…つまり一般大衆…は、ボーヴォワールの主張を素直に受け入れて称賛した。
でもボーヴォワール自身や他の女性哲学者達は悩んだかもしれない。彼女たちの主張は、端的に言えば、「今まで男が独占していたことを、私達も欲しい」ということだ。政治的地位、学歴、高い給料、仕事の裁量、家庭での発言権など。それらを「欲しい」と主張することは、それらの価値を認めることになる。男が必死になって獲得してきたもの…
男の価値観…に合流することになる。本当にそれで良いのか?男の価値観を傍観しながら「もっと大切なことがあるのに」と鼻であしらう、女の価値観を確立するほうが良い、という可能性もあるのではないか?」

つまり、「男女は平等。男に追いつけ追い越せ」と同じ土俵に立つ考え方ではなく、「男女は違う。男が価値を認めることに女は価値を認めないし、その逆もしかり」と違う土俵を作る考え方です。私はこの時、なんて難しいことを思いつくんだ…と驚きました。既に存在する価値を「私達も欲しい」と言うよりも、存在しているかもしれないけどまだ言語化されていない、確立されていない価値を創り出す方が難しいです。また、これは「女の幸せ」といった類の言葉で、結局女性を抑圧する方向に進んでしまうリスクもはらんでいます。

本当にボーヴォワールにこのような葛藤があったかは分かりません。ただ、人類の遺産ともいえる頭脳を持つ人ですから、こんな言い方も何ですけれど、一介の大学教授が思いつくような事は、思いついたのではないかと思います。
彼女は悩んだけれど、当時の女性達の現状から「今の優先事項は、男が独占してきたことを、女も得ること」と決心したのでしょう。それで本当に女性は幸せになるのか、それで本当に社会は良くなるのか、は男女間の不平等が解消してから改めて考えれば良い、と思ったのかもしれません。その判断はありがたかった、と現代に生きる私は思います。
昨今は、ボーヴォワールの時代に比べればずいぶん女性の立場は向上しましたが、ジェンダーギャップ指数は依然としてあります(政治・経済・教育・健康の観点から男女の平等を数値化したもの)。今の社会をボーヴォワール達が見たら、なんて言うのでしょうか。「頑張っているけどまだまだね。女性進出をもっと進めましょう」と言うのか、「ずいぶん平等になったね。そろそろ女性ならではの価値観の創造に移りましょう」と言うのか。
ぜひ一度ゆっくりお話ししてみたいものです。

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2024年1月Vol.130 サクッと小噺 2024年02月15日

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《大寒》

私は大寒が好きです。いえいえ、寒いのが好きというわけではなく、「大寒の次が立春」という二十四節気の並びと、「最も寒い時期が、冬の真ん中ではなく、冬の最後に来る」という順序が好きです。
寒さに震えていても「次は立春」と思えば耐えられるし、「もっとも寒い時期は、春の直前」という現象は、人生にも反映できて励まされるからです。
二十四節気において、冬は立冬(りっとう)〜小雪(しょうせつ)〜大雪(たいせつ)〜冬至(とうじ)〜小寒(しょうかん)〜大寒(だいかん)に分けられます。立冬の始まりは例年だいたい11月7日頃で、大寒の終わりは2月3日頃です。この3ヶ月間の冬において、寒さのピークが真ん中ではなく最後というのが、そしてその後には春が立つというのが、季節のなんとも粋な計らいだなぁ〜と思うんです。
この大寒から立春への変化を、人生にも当てはめて考えると、励みになりませんか。
辛い時、「今は人生の大寒。次は立春」と考えることができたら、幾分ラクになりそうです。
大寒の次は春爛漫(はるらんまん)、ではない、というところがまた良いのです。
大寒の次はあくまで立春で、春が立つだけです。立春はまだかなり寒いです。二十四節気では立春のあとに、雨水(うすい)〜啓蟄(けいちつ)〜春分(しゅんぶん)と続きますが、雨水は雪が雨に変わる頃で、啓蟄は虫が冬ごもりの虫が地中から顔を出す頃で、春分は昼と夜の長さが同じになる頃です。
つまり、立春時点ではまだ雪も降るし、虫は冬ごもり中だし、昼より夜の方が長いということです。それでも、少しずつ少しずつ、気づかない程少しずつ、春の気配が地表を覆い始める・・・それが立春です。
人生において、大寒のあとに春爛漫が訪れるなんて言われたら「そんなに甘くないよ」と思います。
でも、大寒のあとに立春・・・まだ寒いけど少しずつ春に向かっていく時期・・・が来ると言われたら、信じられます。実際、私はまだ36年しか生きていませんが、今までの人生で「あれは辛かった」という事を思い起こすと、大寒のあとに立春、というのは実感と合うんです。

今年の大寒の終わりは2月3日。2月4日からは立春です。
皆様にとって良い春が来ますように!

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2023年12月Vol.129 サクッと小噺 2024年01月17日

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≪5年日記≫
もう今年も終わりですね。2023年は皆様にとってどんな年でしたか?年末から年始にかけては毎年いろいろな事を思いますが、私の場合は毎年必ず積み重なる財産として、「日記がまた1年分増える」ということが挙げられます。
私は2015年1月1日から5年日記を書いているので、これで丸9年分の記録が溜まる事になります。
5年日記とは、5年分の同月同日が1ページにおさまったスタイルの日記帳で、いま私は2冊目です。


たとえば、2023年12月10日の日記を書くときに、自然と過去の同月同日の日記も目に入ります。すると、「風邪に気をつけよう」とか「クリスマスケーキ予約しなきゃ」とか「年賀状を買わなきゃ」とか、気づくことがあるわけです。そして2024年の同月同日には遠方の妹に想いを馳せるのでしょう。
過去の同じ時期に自分が書いたコメントって、後々とても有益な情報になります。私は1年目(2015年)は正直つまらなかったけど、そこさえ乗り越えたら、とっても楽しくて便利になりました。

同月同日だけでも重宝しますが、たまに1ヶ月先まで読み返すと、5年日記は更に効果を発揮します。たとえば「昨年の母の日は前日に慌ててプレゼントを手配したものの、母の日当日には届かなかったが(日記を読み返して早めに手配したので)今年はステキなプレゼントを余裕を持って準備できた」や、「昨年は11月に風邪をひいたが(日記を読み返して服装や休養に気を配ったので)今年は元気に過ごせた」など。
私があまりにも5年日記を勧めるものだから、同僚5人が5年前に5年日記を買いました。
初年度は「特に書くことないね」「コートをクリーニングに出したとか、日記というより備忘録みたい(笑)」なんて感想が聞こえましたが、5年たった今、続けている人は、「コレは自分専用の自分マニュアルだ!もはや財産だね!!」と価値を実感してくれています。そうなんです!5年日記って、自分専用の自分マニュアルになるんです!

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2023年11月Vol.128 サクッと小噺 2023年12月18日

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≪産後クライシス≫
いつもお世話になっております。サクです。今年の初夏に第二子を出産して、今は産後クライシス期にあたります。産後クライシスをご存知ですか?あるTV番組で提唱された用語で、産後2〜3年間で夫婦仲が急激に悪化し、場合によっては破綻してしまう現象を指します。お互いに愛情を失っていくのですが、妻から夫への冷め方が特に顕著なようです。

産後クライシスの一因は女性ホルモンの急降下と言われています。妊娠中は多種類の女性ホルモンが増えて、普段の1000倍まで増えるホルモンもあるのに、これが出産したとたん激減して一時的に老人並の数値まで下がるそうです。私は生物学的な知識は皆無ですが、それでも、ホルモンが通常の1000倍まで増えることも、それが急落することも、数値のブレとしては異常事態であり、心身が大きく乱れることには納得です。

更に、経膣分娩ならお股が痛いし、帝王切開ならお腹が痛いし、母乳が出ても出なくても胸が痛いし、肌は乾燥するし、髪は抜けるし、口は乾くし、ろくに眠れないし・・・

など、個人差はあるものの、みんな何らかの(もしくは全ての)体調不良を抱えながら、赤ちゃんの育児が始まります。体も生活も一変する妻と違って、夫の体は変化しないので、そのままの生活を続けることも可能です。昨今のパパママ教室では「夫がそのままの生活を続けると夫婦愛は冷めていき、共に育児すると夫婦愛は徐々に回復します」と教わります。

私の夫は家事育児に取り組むので、専業主婦より共働きを望む私には良いパートナーです。出産した妻に余計な一言も言いません(お腹たるんだままだね、とか)。それでも、産後クライシスはあるのですねぇ。我ながら「私ヒドイ」と分かってはいるのですが、夫への愛が減っていくのです。
毛穴レスで柔らかい赤ちゃんの肌に比べて、夫の肌はなんて汚いんでしょう。
毛穴が開いて、ヒゲが生えて、角質が固くなっています。
ふんわり母乳の香りがただよう赤ちゃんに比べて、夫はなんて臭いんでしょう。
汗と垢と脂が混じった臭いがします。

わかってます、わかってます、ヒドイ事を言っているのは。赤ちゃんの肌や体臭と、大人のソレを比べるなんておかしいです。むしろ普段より汚いのは夫より私です。出産直前まで夫を汚いとは思わなかったのに、出産が済んだとたんにこんな感情を抱くなんて、不思議ですね。調べてみると珍しい現象というわけでも無いようで、いろんな説が出回っています。
たとえば「乳児はつきっきりでお世話しないと死んでしまうため、母親は本能的に新たな妊娠を避けようとする。自分を妊娠させる可能性がもっとも高い相手、つまり夫を、とりわけ避けることもある」など。なるほど…今の私は理論より本能で動いている。
私ってドウブツだなぁと思いました。もちろん産後もラブラブな夫婦も沢山いて、その方がゼッタイ幸せですが、私のようなケースも珍しくないと知っておくと、いざというとき役立つかもしれません、ね・・・。

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2023年10月Vol.127 サクッと小噺 2023年11月16日

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1年で1番好きな月は? 1年の中でいらない月は?
ラジオ等でたまに話題になる、害のないどうでも良いテーマです。でも、二十四節気や歳時記など季節ネタが好きな私には結構面白くて、真剣に聞き入ってしまいます。いつも不人気なのは6月と11月です。6月は梅雨だからでしょう。せっかく5月に緑が眩しくなったのに、6月は連日の雨でテンションが下がります。雨と共に寒いとなんだか悲しいし、雨と共に暑いとムシムシして不快だし。一方11月は、具体的に何が嫌というより、「何もない」という意見が多いです。大型連休もない。これといった祭りもない。ハロウィンやクリスマスのような派手なイベントもない。なにかの季節のピークでもない。コレというイメージが沸かない、それが11月。ディズニーランドなどのテーマパークを見ても、デパートなどの商業施設を見ても、「11月って経済をまわすネタに欠けるのよね」という苦労は見て取れます。
余談ですが、私が作った歯ブラシに「1年歯ブラシ ピーグリップ」という商品があります。毎月、楽しく忘れずに歯ブラシ交換ができるように、ハンドルに各月の数字と

   

イラストが描いてあるのです。それをご覧いただいても、「11月はネタが無かったんだな」と感じていただけるかと思います(苦笑)。
たしかに、11月は1年の中で最も地味かなとは思いますが、私は11月が1番好きです。P.D.R.がある名古屋はもはや亜熱帯のような気候で、真夏はマレーシア出張帰りのスタッフが「名古屋のほうが暑い!」と嘆くほど。

10月はTシャツ1枚で過ごせる日も多くて、まだあまり秋っぽくなく、夏の余韻のほうが強いくらいです。
しかし11月に入ると、TシャツがロンTに変わり、ロンTの上にパーカーを羽織るようになります。空気も夏の余韻より秋の始まりの気配が強くなり、空も高く青く澄みます。
ハロウィンの喧騒は過ぎ去り、クリスマスの華やぎはまだ遠く、年の瀬の慌ただしさも無い・・・。
ただ、空を見上げて「秋っぽくなったなぁ。気持ちいいなぁ」とノンビリできる時期です。
こんな月が1年に1ヶ月くらい必要です。個人的には4ヶ月に1度あってもいいのにと思うくらいです。
さぁもうすぐ11月。今年も大変楽しみです。

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2023年8月Vol.125 サクッと小噺 2023年10月23日

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ラグビーワールドカップが開催中ですねっ!そろそろグループ別の試合も佳境を迎えて、トーナメント戦が始まります。今年はフランス開催なので、4年前の日本開催に比べると時差の関係で、少しだけ観戦しにくい試合時間もありますが、それでも楽しい大会です。
私は普段からスポーツの大会を熱心に観戦するほうではなく、毎回「にわかファン」として、その時に盛り上がっているモノを軽く楽しむ程度です。熱くなった記憶もたいして長続きしません。そんな私でも、4年前のラグビーワールドカップは鮮烈に覚えています。TV観戦中、何度も大笑いしてしまいました。「カッコ良すぎると笑っちゃう」という自分の新たな一面を知った大会でした。
ラグビーは「危ないからやめなさいっ」と言いたくなるようなプレーで溢れています。たとえばタックル。ボールを持って全力疾走するオフェンス選手を止めるために、ディフェンス選手は逆方向から全力疾走してきてオフェンス選手に飛びかかり、2人そろって地面に倒れます。一般人でさえ、お互いに逆方向から全力疾走して激突すれば痛いでしょう。それをゴツゴツの大男同士で行うなんて・・・。
骨が折れても、内臓が破裂しても、おかしくはありません。たとえばスクラム。両チームから特に筋力が強くて体重の重い複数人が出てきて、お互いにガッチリと体を組み合って、全力で押し合いへし合いします。
団体で行う相撲みたいなかんじです。一対一でも危ないのに、複数人で相撲なんて・・・。押し合っている最中も危険ですが、うっかり倒れたりスクラムが崩れたりしたら、下敷きになった選手は命を落としかねないほど圧迫されてしまいます。
それでいて、アメリカン・フットボールなどと違ってラグビーには防具らしい防具もありません。

ラグビー協会もラグビー選手も、ラグビーが危険をはらんだスポーツである事はわかっています。でも、彼らは危険な事をしたいわけでも、敵を怪我させたいわけでもなく、ただただ純粋にラグビーを楽しみたいし、素晴らしいエンターテイメントのような試合をしたいと考えています。そこで肝になってくるのが「ルール」と「信条」です。ラグビーは「今はタックルしてOK、今はタックルしたら反則」や「今は手を使ってOK、今は手を使ったら反則」など「今OKなプレー、今NGなプレー」が試合中にどんどん変わります。また、ラグビー用語で試合終了を「ノーサイド」と呼びますが、これは「試合が終われば敵味方なし」という意味です。更にラグビーは、「品位・情熱・結束・規律・尊重」という基本理念を持つ憲章も掲げています。
複雑なルール、独特の用語、憲章、これらはすべて「危険なプレーだからこそ、危険を排除しつつ楽しめるように作られた知恵」と言えるでしょう。
興味深いことに、ラグビーもサッカーも、ルーツは同じで「フットボール」だそうです。昔のフットボールは地域のお祭りの一種で、人数もルールも曖昧でした。それこそ「1丁目から3丁目は赤チーム、4丁目から6丁目は青チーム」というようなチーム分けだったし、手も足も使っていて、地域によってルールが少しずつ違いました。とにかくボールを奪い合って遊んでいたわけです。しかし、学校で競技として行うようになり、別地域との交流も始まると、ルールを統一する必要がでてきます。
その時に「今は何でもアリで危なすぎるよ。手でボールを触るのは禁止にしよう。コートのどこにボールがあるのか常に可視化できるスポーツにしよう」と言い出した人達が、後のサッカーに繋がります。「手も足も使えるから面白いんじゃん。
ボール争奪戦でボールが見えなくなるのは当然じゃん。それらを禁止したらつまらない。禁止せずに、負傷者が出ないように規則と心を整えようよ」と言い出した人達が、後のラグビーに繋がります。どちらの言い分ももっともで、どちらも人類の宝ともいえるスポーツに成長したので、当時の分岐に感謝したいな、と思います。
ただ、私の個人的な趣向としては、ラグビーの「危険なことを危険でないように行う」点に「カッコいい〜」とキュンキュンします。どんなスポーツも冷静と情熱が同時に必要ですが、ラグビーは特にそれを強く感じます。
決勝まであと1ヶ月、まだまだときめきは続きます♡

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