山が神様

制作部 竹内がお届けします。

先日、数年前にDMでご紹介した吉野山の弘願寺の歯がため地蔵祭りに参加してきました。
弊社DM編集担当櫻井と、取材の帰りに二人でプチデートしてきたわけですが、ちょうど吉野山の中心的寺院、金峯山寺の秘仏金剛蔵王大権現(重要文化財)の特別公開が行われていましたので、ついでに拝観してきました。

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金剛蔵王大権現は3体。左から「弥勒菩薩(みろくぼさつ)」中央が「釈迦如来(しゃかにょらい)」右が「千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)」高さ7mの木彫の仏像です。
とても迫力があり、顔が青く三体とも目を見開き、歯をむき出しにして怒っている表情で、金剛力士像の阿形(口を大きく開いている方)のような形相をしています。
なぜそんな顔をしているのかというと、吉野山から南の山々は大峯と呼ばれ修験道の修行の場所です。修験道は日本古来の山岳信仰であり、もともと仏教とは別の信仰だったのですが、外国から入ってきた仏教と混ざり合い、山を駆け巡って(山岳信仰)悟りを目指す(仏教)ということになってしまったわけです。もともと修験道で崇められていた神は、山らしく荒々しい神です。それを、釈迦如来、弥勒菩薩、千手観音という仏教にちなんだ名前に改名してしまったので、他の寺院で見られるような優しい表情をしていない訳なんです。

なぜ私がこんなに詳しいのかというと、今回の同行者櫻井のおかげ。彼女はカナダの大学で宗教学を学んでいたため、世界各地の宗教に精通しており、修験道についても私に詳しく教えてくれました。
彼女は車の中で「竹内さん、私、空海になりたいんです」。いきなり何を言うんだろうと思い理由を尋ねると、「だって何もかも、無い事が幸せと感じられるですよ。」私は即答で「意味が解らない」と返答(後日この原稿を書くために聞き直したところ、「無いことが幸せ」なのではなく、「宇宙の何もかもが同一と感じられる」のが幸せなのだそうです。私に違いがわかりませんが。)そこから空海の思想や密教、修験道などの話を詳しく私に教えてくれます。
あの瞬間、私の中では無知なおっさんに悟りを説く櫻井は「空海」でした。「櫻井よ、お前はもう十分に空海に近づいている」と心の中で思っていました。
金峯山寺の蔵王権現ご開帳は年に1回で、ここ何年か毎年行う予定だそうです。今年のご開帳は終わってしまいましたが、来年、桜のきれいな季節に秘仏をご覧になってはいかがでしょうか。

ところで、歯がため地蔵祭りでは、ちゃんと日本全国の歯科医院様、歯科技工所様の商売繁盛を祈願してきました。
世界の宗教を知り尽くした桜井が祈りましたから、きっと皆さまに幸が訪れるとことと思います。