2016年5月Vol.46

こんにちは、サクっと小噺のサクライです。先月はベールをあげたまま入場してしまった結婚式について書き
ましたが、今月はその続きを書きたいと思います。

 

結婚式は家族だけで行いました(参列者8名)。テーマは「お父さんお母さんありがとう」の1つだけです。
こだわったのはドレスよりも指輪よりも、料理と引き出物と両親への手紙。私と主人は感謝を込めて、ささやかながら温かい式を用意したつもりでした。しかし、式を感動的に仕上げたのは、私達ではなく家族の方でした。

 

私の両親が、中島みゆきさんの「糸」を演奏してくれたんです。
手作りの歌詞カードを配って、新郎側の家族も新郎新婦も巻き込んで、皆で合唱が始まりました。

 

なぜ めぐり逢うのかを 私たちは なにも知らない
いつ めぐり逢うのかを 私たちは いつも知らない
どこにいたの 生きてきたの 遠い空の下 ふたつの物語

 

私と主人は共通の友人もいないし、出身も違うし、仕事での関わりもありません。あるカフェでたまたま隣に座った、それだけなのです。なぜ逢うのか、いつ逢うのか、想像もしていませんでした。中島みゆきさんの歌詞が心に沁みます。

 

私の両親は30年以上アマチュアオーケストラで演奏しているので、私も赤子の頃から二人が奏でる音を聴いて育ちました。留学中にホームシックにかかった時も、家族の写真を見るよりクラシック音楽を聴く方が落ち着くくらい、私の中で両親と音楽は結びついています。そんな両親の演奏は最大級の「おめでとう」に聞こえて・・・涙が止まりませんでした。両親への手紙で泣かせてやろうと意気込んでいたのに、むしろ私の方が泣かされてしまいました。

 

小さな式場で、父と母の演奏にのせて歌った「糸」は、今も心の奥底に残っています。
とても温かい、幸せな時間でした。

 

──さて。式のあとレストランの個室で会食を開いたのですが、私の母は食事中に寝ました。ウトウトではなく本気で寝ました。義父は「演奏が終わってほっとしたんだろう」と言っていましたが(そう思わなければ受け入れられないですよね)、私は知っています。演奏のあるなしに関わらず、母はいつも食べたら寝るんです。家でも外でも寝るんです。娘の結婚式でも、いつもどおり食べたから寝ただけです。う~ん、大物だなぁ。