うなぎ

先日京都で羽化したてのセミを発見し、夏の始まりをしみじみと感じた新入社員の廣政です。

 

やっと梅雨も明け、夜の暑さとセミの鳴き声に悩まされる時期がやってきました。夏の食欲のなくなる時期に食べたいものといえば・・・ビール片手に枝豆? 冷たいそうめん? いやこんな時こそ、スパイシーなカレー?いえ、やっぱりあの香ばしい香りとしょうゆのタレ・・・うなぎの蒲焼。想像するだけで食欲がわいてきます。

 

私は大学院時代の2年間、うなぎがメインの割烹でアルバイトをしていました。大将が炭火で焼くうなぎは絶品です。しかし近年、うなぎの価格がどんどん上がり、若者にはとても手の出ない値段になってしまいました。
皆様は、価格上昇の理由をご存知ですか?
今回はうなぎの不思議5つを紹介しつつ、価格高騰の理由をお話ししたいと思います。
うなぎはとーーーっても謎に包まれた生物なのです!

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①うなぎは人類と長い付き合いの魚
日本で最初にうなぎに関する記述が見られるのは奈良時代の万葉集だそうです。そのころから食用されていたと言われています。うなぎを今のようにタレにつけて食べるようになったのは、濃い口醤油が普及した江戸時代だそうです。

ヨーロッパでは2400年前のギリシャ時代から研究されている魚です。
かのアリストテレスも研究していたそうです。

 

②うなぎの出身地ははるか遠い海
長い付き合いにもかかわらず、日本うなぎの産卵地が解明されたのは2006年とつい最近です。その地はサイパンやグアムの近辺であるマリアナ海嶺でした。解明したのは日本の学者さん達です。
孵化したうなぎはサイパンやグアムから黒潮にのって日本にやってきます。

 

③うなぎの養殖は完全養殖じゃない?
長らく産卵地帯が不明だったことから、うなぎの養殖は卵を人工孵化させる養殖でなく、稚魚を捕獲して早く大きく育てるという養殖が一般的です。2010年に完全に人工で卵を孵化させることに成功した研究チームがいますが、時間と費用がかかるために、商業化には時間がかかるそうです。

 

④日本人が世界のうなぎを食べ尽くす?
ということで、うなぎの養殖には稚魚が必要です。日本人のうなぎの消費量は世界全体の消費量の70%で、ほぼすべてが養殖うなぎです。日本での稚魚の捕獲数は年々減少しており、中国や台湾から稚魚を輸入しています。
そして、日本の稚魚の需要が高まったことから、中国や台湾では稚魚の乱獲が横行しました。ヨーロッパを中心に生息しているヨーロッパうなぎも、稚魚を中国で養殖し日本へ輸出するビジネスが拡大したため、乱獲が横行し、世界全体の稚魚の数は減少しました。
日本人が世界のうなぎを食べつくしていると言っても過言ではありません。稚魚の価格は10年で数十倍になってるといいます。

 

⑤世界のうなぎ料理
とはいえ、うなぎを食べるのは日本人だけではありません。世界にはさまざまなうなぎ料理が存在します。
私が一時期滞在していたドイツの海岸沿いのハンブルグでは、うなぎをバターでソテーしてクリームソースをかけた料理が名物でしたし、燻製なんかもポピュラーです。冷えた白ワインに良く合います。
また、私のルームメートの出身地韓国ではチャンオグイという料理があり、うなぎをコチュジャンのようなタレにつけ、焼き、サンチュに巻いて食べるそうです。
スペインとフランスの国境地帯のバスク地方ではうなぎの稚魚をオイル煮にして食べる料理も存在します。しかし先述の稚魚の減少のせいで、今では100グラム1万円もすることがあるとか。最近では“うなぎの稚魚もどき”で作ることもあるようです。

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このように、うなぎは不思議だけど、人類ととても関わりの深い生き物なんですね。私達の営みは常に自然に支えられているんだなと感じます。常に感謝していろいろなものを食べたいです。

 

ちなみに私が学生時代を過ごした京都では、あんころもちを土用餅といって食べます。これは小豆が夏ばてにいいからだとか。日本各地には、丑の日にうなぎ以外のものを食べる風習もあるんですね。
今年は愛知県で迎える初の夏、奮発してひつまぶしでも食べに行こうかな。