2022年6月Vol.111 サクッと小噺

 ※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。

こんにちは、サクッと小噺のサクです。皆さま今年の大河ドラマはご覧になっていますか?
さすが三谷幸喜、面白いですねぇ。武士の生き様を見ていると、「同じ人間でも、今とは価値観がぜんぜん違う!」と驚くことが多々あります。たとえば、源頼朝は父の仇である平家を滅亡させますが、彼のお父さん(源義朝)を討った平清盛はすでに世を去っているわけです。お父さんを討った張本人はもういないけど、そいつの一族郎党を根絶やしにするまで気が済まないなんて、我々には理解しがたい感情です。壇ノ浦の戦いで、平家一門が女子供も含めて全員で入水するシーンではやるせない気持ちになりました。ところが、私自身の中にも、頼朝と同じように「一族郎党が憎い」という復讐心があることに最近気がつきました。相手は蚊です。
私は子供の頃とても蚊に刺されやすくて、夏になると水ぼうそうと見間違うほどよく刺されていました。友達からは「サクと一緒にいると蚊に刺されない」と言われるほど、本来は彼女達が刺されるべき分まで、一手に引き受けて刺されていました。夜の就寝中も、家族の中で私だけが刺されて、深夜に痒みで目が覚めて一人悲しくキンカンを塗っていました。大人になってからは以前ほど刺されなくなりましたが、それでも夫に「キミが隣にいてくれると、僕は虫よけスプレーをする必要がない」と言われる程度には、蚊を集めてしまいます。


このような事情により、私は蚊への怨念を募らせていきました。私の血を吸った蚊だけではなく、すべての蚊が憎いです。血を吸うのは出産前にタンパク質を必要としているメスだけと知りましたが、それでもなお、「出産のためなら血をあげる」と思うより、「つまり血を吸った蚊を逃したら大量のボウフラが産まれるという事だな、なおさら生かしてはおけん!」と思います。今では蚊が寄ってきたら、追い払うよりもあえて肌を差し出して蚊がとまるのを待つようになりました。針を皮下まで差し込んでいる蚊はとっさに飛び立つことができません。逃げようとしても、針を抜く作業が必要なのでどうしてもワンテンポ遅れます。


私はその瞬間を狙っているのです。蚊が寄ってくる、腕を差し出す、蚊がとまる、針が挿入されたのを確認して、
パチン! この方法では痒くなるからイヤ〜と思われるかもしれませんが、痒くなる原因は、蚊が針の先から注入する唾液です。蚊が針を挿入してから、唾液を注入される前に叩けば、痒くなる事はありません。


寄ってこない蚊に対しても私は厳しいです。オス、つまり血を吸わないとしても、オスがいるからメスが妊娠して
血を吸いにくるのです。だからオスにも容赦はしません。蚊に対して私のセンサーは非常に発達していて、見つけるのも早いし仕留めるのも早いです。蚊が壁にとまっていても、空気中を飛んでいても、すぐ見つけるし、仕事中でも、食事中でも、育児中でも、見つけたら

99.9%仕留めます。運動神経も動体視力も空間把握能力も平均以下なのに、どうして蚊に対してだけこれほど俊敏に動けるのか不思議だ、とよく夫に言われます。


自分でも不思議ですが、私は蚊を見つけると、周囲の音や景色がスッと遠のいて、蚊だけがリアルな存在感を放って
くるのを感じます。蚊と私だけの静謐な世界で、羽音までが聞こえてくるようです。ここまでくると蚊が苦悩なのか生き甲斐なのかよく分かりませんが、とにかく蚊は大っきらい、滅びてしまえ、と心底思うのです。
自分が受けた被害は「かゆい」だけなのに、種族ごと滅ぼしたいと思うなんて、私は残酷です。


お釈迦様なら「人の命も虫の命も等しく尊い」とおっしゃるでしょう。
でも私は、蚊の命より自分が痒くならないほうが大事なのです。ひどいですね。
頼朝もそんな気持ちだったのかな…と思いながら大河ドラマを楽しむ今日この頃です。

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