はじめてのおつかい

制作の竹内がお届けいたします。
2014年ももうすでに1ケ月が経過しました。
早いものです。

 

正月にはテレビで数々の特別番組が放送されますが、私「はじめてのおつかい」が好きです。
あの番組を見て思い出すのは、今から40年位前の私の初めてのお使い。

 

近所のよろず屋に、醤油を買いに使いに出された私。
当時ポリ容器等は無く、液物は1800mlの一升瓶しかありませんでした。
買い物を済ませ、一升瓶を抱えて自宅への坂道を登る途中、手を滑らせ一升瓶を落としてしまったんです。
むろん、一升瓶は割れ、中の醤油は全て無くなってしまいました。

 

小さな私はこぼれた醤油を上着に含ませ、急いで自宅に帰り母親に事の全てを伝えました。
母親は「ごめんね、ごめんね」と言いながら私を抱き寄せてくれました。
私も「ごめんなさい、ごめんなさい」と言いながら母親にしがみつきました。

 

その後、二人で割れた一升瓶のカケラを掃除しに行きました。
母親は「しばらくここは醤油のいいにおいがするね」と言っていました。

 

今でも通るたびに醤油の匂いがするように思えるその場所を、私は勝手に「醤油坂」と名付けました。醤油坂を通るたびに家で待っている母親を思い出します。

 

現在、実家に顔を出すと、足と耳が悪くなった母親と、職人肌気質の無愛想な父親が40年前と変わらぬ感じで私を迎えてくれます。
そっけなく「ただいま」と言うだけの自分をいつも帰る時に反省します。ごめんなさい。