2018年1月Vol.67 サクッと小噺 2018年07月13日

※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。

 

こんにちは、サクライです。早いもので平昌五輪まであと半月ですね。特に楽しみなのは男子フィギュアスケート!そこで今月は、私が独断で選ぶ男子フィギュア演技BEST3を紹介します。

 

アレクセイ・ヤグディン 仮面の男 2002年 ソルトレイクシティ五輪

「これぞ金メダル」という演技を1つ挙げろと言われたら、迷わず「ヤグディンの仮面の男」と答えます。これは本当に凄かった。余裕の4回転、乱れぬスピン、軽快なステップ、ムンムンとあふれる男の魅力! 初めてTVで彼を見た時の衝撃は忘れません。私は中学生で、部活が始まる前に納豆ご飯を食べながら見ていました。彼がカッコよすぎて箸を持つ手も止まってしまい、4分半の演技が終わった後も夢見心地で立ち上がる事ができず、部活に遅刻しました。

 

エフゲニー・プルシェンコ ニジンスキーに捧ぐ 2004年 ロシア選手権

2002~2014年の4回の五輪に出場した絶対王者のプルシェンコ。そんな彼の頂点は、2004年のこのプログラムだったと思います。2015年に羽生選手が300点を越えて、あらためてプルシェンコを見ると、「点数では測れないものがある」と強く感じます。彼はもはや競技者ではなく芸術家です。これは大会ではなく舞台です。他の選手はライバルではなくプルシェンコの前座にすぎません(失礼)。彼は圧倒的です。次元が違います。さて、彼は演技もスゴイのですが、終わってからも常人ではありませんでした。これほどの演技ができたら、普通は感極まって泣きだしたり、膝をついてリンクにキスしたり、しばらくは演技の緊張感から抜け出せないものなんです。しかしプルシェンコは、音楽がやんだとたんに「はいおわりー。いえーい!」という軽い態度…。本当の天才ってこういう人を言うのかしらん。

 

羽生結弦 ロミオとジュリエット 2012年 世界選手権

羽生選手が初出場した世界選手権です。前半は完璧に舞っていたのですが、後半に何でもないところで転びます。当時シニアにあがったばかりで、長い演技時間に体力が追いつかないため疲労困憊して足がもつれたんです。しかし彼はすぐに立ちあがって連続ジャンプを華麗にきめます。「強い子だ、転倒してもまったく心が折れない」と思って見ていたのですが、途中で考えが変わりました。「もしかして羽生くん、転んだ事に気づいてない?」目がイッちゃって、何かが憑依しているように見えたからです。限界なんてとっくに超えています。こんな気迫は、ヤグディンやプルシェンコからも感じた事はありません。私は、理由もわからないまま、泣けてきました。羽生くん、アナタはその細い肩に、一体なにを背負っているの?

 

この後、彼が仙台の子だと知りました。あの大地震は彼の練習にも影を落とし、スケートを続ける事さえ難しかった事。全国のリンクをまわって、ショーに出演する事で練習の代わりにしていた事。その間にたくさんの人に助けられた事。…そうか、アナタはそんなに大きなものを背負っていたのか。そんなに大きなものに支えられていたのか。あの演技を見た時はそんな背景は知らなかったのに、涙が止まりませんでした。そういう演技は存在するんです。背景を知らない人にも、何かを訴えてくる演技が。

 

ヤグディンの仮面の男も、プルシェンコのニジンスキーも、羽生くんのロミジュリも、私はきっと一生忘れません。ヤグディンのおかげでフィギュアのファンになってから毎年いろいろ見てるけど、上記の3つは奇跡でした。動画検索すれば出てくると思うので良かったら見てみてください。本当にスゴイので。

 

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