2020年10月Vol.93 サクッと小噺

※小噺は過去分を随時アップしております。内容に時差がある場合もありますが、是非ご覧ください。

考える力をつける大学受験を―! 日本の新たな大学受験をめざして、国の改革が揺れていますね。今までは暗記できる「知識」を重視しすぎたので、これからは思考力をつかさどる「知恵」を重視しよう、という狙いだそうです。ある教育評論家が「ゆとり教育でも同じことを目指したが、その時は学習指導要領だけ変えて、受験体系は変えなかったため、知恵は鍛えられないまま、知識だけ低下した」と述べていて、ゆとり世代の私は「なんてこった」と苦笑まじりに思いました。

 

良かれと思っての改革ですが、採点の公平性への不信感や、地域格差や経済格差など、懸念も出ています。「早く新体系を決めてくれないと、何をしたら良いかわからない」「子どもが動揺している」と、子どもを心配する声もたくさん聞かれます。そんな昨今、ある新聞のハーバード大学の記事を思い出しました。数年前の記事なので、今は事情が違うかもしれませんが…。

 

ハーバードの受験でも試験はするけど、試験は「最低でも〇点は取らないと話にならない」と足切りだけに使って、基準点以上の生徒達は、点数以外のことで合否が決まるそうです。その際の観点はただ1つ:彼/彼女がハーバードに入ったら、ハーバードがどうなりそうか。具体的な選定方法は明かされていないので、何をもって「どうなりそうか」を決めているのか分かりませんが、多くの教育評論家や記者が予想を立てています。たとえば珍しい文化のバックグラウンドを持つ生徒は、「新しい風を吹かせる」という期待で優遇されるかもしれません(たとえばモン族、ラバリ族、イヌイット…)。
たとえば両親がハーバード出身者だと「ハーバード哲学を守れそう、寄付金が多そう」という期待で優遇されるかもしれません。ハーバードは、学生1人1人の努力と学力に報いるのではなく、より良い大学にしてくれそうな学生を望むのです。より良い大学にすれば、ひいては卒業した学生達が、より良い社会を作る事にも貢献するだろう、と考えているからです。私はこの記事を読んだときに、「大学受験というより、会社の採用みたい」と思いました。

 

どちらが良い悪いではありませんが、私の個人的な見解を述べれば、学生の頃なら日本式を望んだでしょう。勉強や体調管理やメンタル管理も含めて、自分の努力は自分に返ってくる、と信じていたからです。
たとえば私が試験で80点を取り、隣の学生は70点なのに、隣の学生はモン族だったという理由で、彼女が合格して私が落ちたら、腹が立ちます。ただ、社会人になった今では、ハーバード式にも納得できます。受験や就活はゴールではありません。大事なのはその先です。そしてその先では、(最低限の知識は必要とはいえ、)知識がある者ほど、良い大学生活ができたり、良い仕事ができるわけではありません。また、自分の努力が自分に返ってくるとも限りません。社会にでると、課題が大きすぎて、私1人では何もできないからです。たくさんの人と関わって、迷惑をかけて、迷惑をかけられながら、仕事を進めていきます。仕事の成功は誰のおかげか?失敗は誰のせいか?そういった事を一応は決めますが、本当のところは分かりません。なので、今では、私が80点で隣の学生は70点でも、隣の学生が選ばれる、という事は十分あるだろうな、と思います。

 

勉強は楽しいです。受験も真剣にやった方がいいです。大学時代にガリ勉だった私はそう思います。しかし社会に出てみると、「受験をあんなに頑張ったのは何だったの?」と不思議になるくらい、受験が人生に与えている影響は少ないです。いつ何が役に立つのかは分からないのだから、そもそも役に立つためだけに生きているわけでもないのだから、学生も社会人も、あまり不安がらずに、目の前のことを一生懸命に楽しめたらいいなぁと思います。

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